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2012年7月26日木曜日

疎開裁判の最新情報:二度目のドンデン返し「郡山市は2ヶ月半の準備期間を求めてきた」(2012.7.25)

1、一度目のドンデン返し
疎開裁判は緊急の救済を求める仮処分手続によるものです。仮処分の二審(高等裁判所)は、通常なら、双方の主張(抗告理由書と答弁書)が出そろえば審理終結し、裁判所の判断が速やかに下されます。
ましてや、郡山市は、 一審(福島地裁郡山支部)で、私たちが「子どもたちの被ばくの危険性」を様々な角度から科学的に証明したのに対して、「自分たちに優しい裁判所に対する揺るぎない信頼」があったのでしょう、最後まで、「不知」(原告の主張を認める訳ではないが、積極的に争う気もない)と言うだけで、それ以上何ひとつ反論しませんでした。
それでも一審で勝てて余裕しゃくしゃくの郡山市は、当然、二審では余裕だらけで、思い切りふんぞり返った対応をするだろうと覚悟していました。「不知」とすら書かないで、「無視」のペラ一枚の答弁書で審理は終結、というショートストーリーを狙ってくる可能性を覚悟していました。

しかし、いざをふたを開けてみるとドンデン返しとなりました。郡山市は、二審の最後の土俵際(といっても、土俵際に追い詰められているのは私たちなのに)の、4月中旬の答弁書で、突然これまでの、「不知」を改め、初めて、科学論争に、しかも、私たちが散々批判したミスター100ミリシーベルトではなく、、かの中川恵一氏の「被ばくと発がんの真実」を持ち出し科学論争に挑んできたのです。

今年、2度の世界市民法廷で疎開裁判の再現劇を上演したとき、観客の笑いを最も誘ったのは、郡山市が「不知」「不知」という答弁をした時でした。無知の極みとしか思えないほどの、郡山市の無責任、無気力、無関心の三無主義が聞いている者に伝わってきたからです(→そのシナリオ)。

その余りにおぞましい姿勢に我ながら恥を知ったのか、郡山市は二審では一転して自ら勝負に挑むという本人たちにすら想定外の態度に変わってしまいました。
この勇猛果敢な転向ぶりに私たちは思い切り敬意を表し、仙台高等裁判所に「科学裁判である疎開裁判において、今回、初めて科学論争に入った。是非、反論したい!」と申し入れたところ、これが認められ、5月20日まで1ヶ月の準備期間をもらいました。
こうして、二審も延長戦に入りました。


2、二度目のドンデン返し
5月20日、私たちは答弁書に対する反論とこの間、さらに明らかになった「子どもたちの被ばくの危険性」について抗告人準備書面(1)と証拠28点(その一覧は証拠説明書(10))を提出しました。
この中で、次の通り、様々な角度から最新情報に基づいて「子どもたちの被ばくの危険性」を明らかにしました。
①. 福島の子どもの甲状腺「しこりと嚢胞」について
本年4月26日、 13の避難区域市町村の住民を対象とした第2回目の甲状腺検査結果(甲130)が意味する内容について、チェルノブイリとの比較のみならず、放射能非汚染地域との対比を詳細におこなった松崎道幸医師の意見書を提出(甲131松崎意見書本文別紙1〔調査結果〕別紙2山下俊一氏らによる長崎県のこどもの甲状腺検査結果)。
②.福島の子どもの遺伝的影響の問題
低線量の内部被ばくにより、直接被ばくした本人(子どもたち)のみならず、その第二世代により強く現れ、第三世代にはもっとより強く現れるという深刻な遺伝的影響の問題があることを明らかにしたスイスの元バーゼル大学医学部ミッシェル・フェルネックス教授の講演を提出(甲132「福島の失われた時間
③.被ばく回避の中で発生した新たな健康被害の問題について
 汚染のない安全な土地で教育する疎開措置という抜本的な解決を図らず、引き続き汚染地域で被ばくを回避する生活を送る中で、子どもたちの健全な健康状態が著しく損なわれているという新たな健康被害の問題が深刻化している事実を、福島県の医師による報告を提出(甲133「原発事故が福島の子どもたちに与えた影響(外出制限について)」
④.ホットスポットと除染問題について
 郡山市民の武本泰氏が情報公開請求手続により郡山市より入手した開示文書により、郡山市内の小学校に数多くのホットスポットがあることが明らかとなった。つまり校庭の表土除去だけでは「放射線量の低減化に向けた措置」が機能せず、学校内のホットスポット問題は何ひとつ解決しておらず、学校の敷地内は依然、極めて危険な状態にある。
⑤. 学校外の遊び場と除染に伴う仮置き場問題
郡山市は、昨年11月から「郡山市線量低減化活動支援事業」として市民協働での除染活動を積極的に推奨したが、この除染に伴って生じた除去土壤等の仮置き場について、その設置及び管理方法について法律違反も含め深刻な問題があることが武本報告書(甲137)6~10頁で明らかにした。 
⑥.学校給食の問題について
子どもたちがが通う小中学校の給食では、「地産地消」をうたって、福島県産の食材が積極的に使用されており、放射性セシウムが10ベクレル/Kg以上の可能性がある米や野菜が提供される可能性は否定できない。放射能に感受性の高い子どもたちには放射性物質ゼロの安全な食物が確保できる環境を実現することが緊急の課題である。

すると、これを読んだ郡山市から、「反論のため2ヶ月半準備期間が欲しい」と言ってきました。科学の素人の市民(原告側)が1ヶ月の準備期間で提出した書面に反論するのに、原発を推進し科学技術の専門家集団を擁する国と緊密な関係にある自治体(郡山市)が2ヶ月半も準備期間が必要だと言い出すとは何なんだ?!
ともあれ、これは郡山市が背水の陣で臨む反論準備の声明なのです。なぜなら、私たちが提出した書面を虚心坦懐に読めば、誰でも、「子供たちは直ちに疎開するしかない」ことが自明の真理として胸に落ちるからです。だから、郡山市は是が非でも、「子供たちは直ちに疎開するしかない」という真理を否定するための準備に励まねばならず、この無理難題を果すためにはどうしても2ヶ月半かかると言わざるを得なかったからです。

これに対し、裁判所は、私たちに意見を聞いた上で、郡山市に2ヶ月10日の準備期間を認めました。そして、まもなくその締切りが訪れます。7月末が郡山市のタイムリミットだからです。

あと数日後に、郡山市から背水の陣の反論の総集編が提出されます、どの角度から見ても子供たちは疎開させる必要は全くない、と。そして、「これで審理を終結してもらいたい、すみやかに裁判所の判断を求めたい」と幕引きを言って来るでしょう。

この意味で、二審の疎開裁判は今、二度目の大詰めを迎えます。ここで、ゴールをどのように迎えるかどうかは、ひとえに、サイレントマジョリティである市民の皆さんの注目・注視にかかっています。

私たちは、「子供たちは直ちに疎開するしかない」という真理とこれを支持する多くの市民の皆さんと共に、疎開裁判の二度目のゴールに突入したいと願っています。

あさってからスタートする公邸前抗議行動は、サイレントマジョリティである市民の皆さんの支持を仰ぐ取組みです。市民ひとりひとりの疎開裁判への支持と注目がふくしまの子供たちを救います。
皆さんと共に、 公邸前からアクションを、子供たちを救う声を全世界に向けて起こそうではありませんか。

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